草津白根山噴火の瞬間 黒煙、降り注ぐ無数の噴石

草津白根山の噴火に遭遇し救出された台湾人スキー客の方々から、噴火の瞬間の映像を提供していただきました。


黒煙、雨のように降り注ぐ噴石、あたりに立ちこめる硫黄臭-。群馬、長野両県境にある草津白根山の本白根山が23日、噴火した。麓にある草津国際スキー場(群馬県草津町)には雷のような爆音とともに黒い噴煙が空を覆い、無数の噴石がゲレンデを襲った。「一歩間違えれば命がなかった」。現場に居合わせた人々は、口々に恐怖の瞬間を語った。

 「ボコボコボコと変な音がした」。スノーボードをしていた川崎市の60代の男性が異変を感じたのは午前10時ごろ。その直後、地鳴りのような音とともに黒い噴煙があがり、噴石に襲われた。20~30センチくらいの噴石が左腕に直撃し骨折。背中などにもあたり、頑丈なウエアは破けた。

 「雨のようで…死ぬと思った。当たらないようにするのが精いっぱい。逃げようとするが、逃げ切れなくて…」。やっとの思いで柔らかい雪の陰に隠れた。平成26年に多数の死傷者が出た長野県の御嶽山噴火の報道が脳裏をよぎり、体を守るように小さくなった。噴石が治まるまで3分ほどだったが、長い時間に感じた。

 周囲を見回すと、スキー客1人と自衛隊員8人がいた。隊員でまともに歩けたのは2人。両足を骨折した人もいた。「自分で精いっぱい。息苦しい。硫黄臭がした。真っ暗だった。必死だった」。男性は身を守ったヘルメットや荷物を残し、歩いて下山。山は中腹まで灰色に染まっていた。

「日本人は誰でも被災者になる。いつ何が起きるかわからない。生きていてよかった」。男性は搬送先の病院で治療を受けた後、かみしめるように語った。

 草津町に20年以上住むという菅沼勝さん(73)は、噴火前、山頂のレストハウスでコーヒーを楽しんでいた。「バーン」という大きな音の直後に、窓の外が真っ暗になったという。

 「噴火です。地下のシェルターに逃げてください」

 従業員の叫ぶ声に押されるようにして席を立った。その直後、ガシャーンという大きな音。振り返ると50メートルほど先に直径20センチほどの噴石が落ちていた。天井には大きな穴が空いていた。無我夢中で地下に走った。

 シェルターには一時、40人ほどが避難。1時間ほど経過し、噴石が落ち着いたのを見計らって上のレストランに戻った。レストランには約80人が避難しており、従業員が提供した飲み物や軽食を口にしていた。

 「これから救助します。年配の方から順番に乗ってください」。午後3時前に自衛隊ヘリが到着すると歓声が上がった。「生きた心地がしなかった。命が助かってなによりです」。菅沼さんは胸をなで下ろした。

 東京都多摩市から妻とスキーに訪れた鈴木克典さん(77)は、ゴンドラで山頂駅に向かう途中に噴火にあった。真っ白な銀世界がみるみるうちに灰色に。ゴンドラは一度は停止したが、再び動き出して駅にたどりついた。麓のホテルで待つ妻に電話をかけ、噴火の発生と自身の無事を伝えたという。

 「混乱していて、何が起きたのかまだ把握できない」と困惑の表情を浮かべるのは警察関係者。スキー場内から救助された負傷者は「噴石があたった」「爆風に吹き飛ばされた」「雪崩に巻き込まれた」などと説明しているが、情報は錯綜(さくそう)しているという。
 噴火直後、草津町役場には爆発音を聞いた住民らから「大きな音がした。何か起きたのか」などと複数の通報が寄せられたが、重大事態に気づかない住民も多かった。町役場は白根山から直線で5キロほどだが、町職員は「音や揺れには、まったく気づかなかった」といい、通報で立ち上る噴煙に初めて気づいたという。

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